少年事件はすべて、家庭裁判所に送られます。これを「家裁送致」といいます。身体拘束をされていない事件では、捜査書類だけが家庭裁判所に送られます。逮捕・勾留されている事件では、少年自身も家庭裁判所に連れていかれ、裁判官と面会し、観護措置をとるか否かの決定がなされます。
観護措置とは、家庭裁判所が審判を行うため、少年を鑑別所に収容して調査を行う措置です。鑑別所に収容される期間は原則4週間(最大8週間)です。
少年鑑別所の中では、鑑別担当者が少年から話を聞いたり(鑑別面接)、身体状況の検査や心理検査を行ったり(心身鑑別)、少年に作文や日記、描画、貼り絵等の課題に取り組ませて少年の行動を観察(行動観察)する等して、少年の資質の特質や問題点、非行を行うに至った要因や再非行の危険性等を調査します。その結果が報告書にまとめられ、少年審判の資料とされます。
少年が鑑別所にいる間は、両親などの家族は少年に面会することができます。付添人は、少年と面会をして少年を励ましたり、家族や少年の雇用主などと相談して、少年の更生にとって最善の方法を一緒に考えます。
観護措置は決して懲罰的なものではなく、鑑別所での生活で、少年が落ち着いた生活を取り戻し、自分の過去や将来について考える時間が与えられるという点では、少年にとって必要な措置である場合もあります。しかし、観護措置によって少年が退学処分になったり職場を解雇されるような場合には、少年の更生にとってはむしろ大きな不利益となる可能性もあります。そのような場合、付添人としては、観護措置決定が出ないよう裁判所にかけあったり、観護措置決定に対する不服申立てや取消しの申立てをしていきます。