東京の刑事弁護・刑事告訴のご相談は03-5293-1775まで
東京の刑事弁護・刑事告訴のご相談は03-5293-1775まで
刑事弁護・刑事告訴のお申込み

犯罪別傾向と対策

財産犯罪

横領・業務上横領・背任・特別背任

犯罪の概要

横領罪

横領罪は、自己が占有する他人の物を横領することにより成立します(刑法252条1項)。法定刑は5年以下の懲役であり、窃盗や詐欺より軽い犯罪となっています。

業務上横領罪

業務上横領罪は、業務として占有している他人の物を横領する場合に成立します(253条)。法定刑は、10年以下の懲役となります。

背任罪

背任罪は、他人の事務処理者が自己若しくは第三者の利益を図り、または本人に損害を加える目的で任務違背の行為を行った場合に成立する犯罪です(刑法247条)。法定刑は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

特別背任罪

さらに、会社の取締役や支配人等の場合は、会社法による特別背任罪の対象となり、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金となります(会社法960条)。

背任罪・特別背任罪が成立するには、自己の利益は必ずしも財産的な利益に限られず、自己保身等非財産的な利益も含まれると考えられています。


傾向

横領の場合

逮捕・勾留の傾向

横領の逮捕の傾向

横領の逮捕の傾向

検察統計によると、平成25年における横領既済事件の総数19,327件のうち、警察及び検察で逮捕されたのは1,580件(8.2%)、逮捕されない在宅のものは17,747件(91.8%)となっています。このことから多くの場合に逮捕されない傾向にあるといえます。

横領の警察の対応

横領の警察の対応

警察で逮捕された1,558件のうち、検察へ身柄送致されたのは1,532件(98.3%)、警察で釈放されたのは26件(1.7%)となっています。このことから、逮捕されるとほぼ身柄付きで送検される傾向にあります。

横領の逮捕後の措置

横領の逮捕後の措置

逮捕・送検された1,554件のうち勾留が許可されたのは1,480件(95.2%)、勾留が却下されたのは14件(0.9%)、検察で釈放されたのは45件(2.9%)となっています。逮捕・送検されても若干釈放される場合があると考えられます。

起訴・不起訴の傾向

横領の起訴・不起訴の傾向

横領の起訴・不起訴の傾向

検察統計によると、平成25年の横領罪の公判請求は130件、不起訴処分の件数は251件でした。起訴・不起訴の合計のうち不起訴処分の割合は65.9%となります。

裁判の傾向

横領の裁判の傾向

横領の裁判の傾向

裁判所の司法統計によると、平成25年に第一審において横領罪で有罪となった件数は529件、無罪となった件数は0件、公訴棄却等が1件で、有罪率は99.8%となっています。
内訳をみると、実刑判決は287件(54.2%)、執行猶予判決は242件(45.7%)、無罪は0件(0%)となっています。


業務上横領の場合

起訴・不起訴の傾向

業務上横領の起訴・不起訴の傾向

業務上横領の起訴・不起訴の傾向

業務上横領罪の公判請求は672件、不起訴処分の件数は680件でした。起訴・不起訴の合計のうち不起訴処分の割合は50.3%となります。
このことから単純横領罪に比べて起訴される割合は高いといえます。


背任の場合

逮捕・勾留の傾向

背任の逮捕の傾向

背任の逮捕の傾向

背任既済事件の総数151件のうち、警察及び検察で逮捕されたのは13件(8.6%)、逮捕されない在宅のものは138件(91.4%)となっています。このことから多くの場合に逮捕されない傾向にあるといえます。

背任の警察の対応

背任の警察の対応

警察で逮捕された11件のうち、検察へ身柄送致されたのは11件(100%)、警察で釈放されたのは0件(0%)となっています。このことから、逮捕されるとほぼ身柄付きで送検される傾向にあります。

背任の逮捕後の措置

背任の逮捕後の措置

逮捕・送検された13件のうち勾留が許可されたのは12件(92.3%)、勾留が却下されたのは0件(0%)、検察で釈放されたのは1件(7.7%)となっています。逮捕・送検されるとほぼ勾留されるといえます。

起訴・不起訴の傾向

背任の起訴・不起訴の傾向

背任の起訴・不起訴の傾向

背任罪の公判請求は11件、略式命令請求は2件、不起訴処分の件数は138件で、起訴・不起訴の合計のうち不起訴の割合は91.4%となります。
これらのことから、業務上横領は半数程度が不起訴処分となるに留まっている一方、横領、背任は高い割合で不起訴処分となっている傾向があるといえます。

裁判の傾向

背任の裁判の傾向

背任の裁判の傾向

裁判所の司法統計によると、平成25年に第一審において背任罪で有罪となった件数は12件、無罪となった件数は1件、公訴棄却等が0件で、有罪率は92.3%となっています。
内訳をみると、実刑判決は4件(30.8%)、執行猶予判決は8件(61.5%)、無罪は1件(7.7%)となっています。
このことから、半数以上について執行猶予が付されているといえます。


対策

被害届や告訴されたことを契機として捜査が開始されているケースがほとんどだと考えられます。逮捕されない傾向が高いことから、まずは逮捕されることを阻止する活動が必要となります。
任意捜査の段階では、広く関係者の取調べ等が行われるのが通常です。捜査機関の側でも容疑事実や容疑者を絞り込めていないからですし、初めは参考人として取調べを受けていたのに途中から被疑者として扱われることもあります。
自分が何の容疑で取調べを受けているのか分からず不安であるとか、こういう容疑で取調べを受けるいわれはないと思う場合には、弁護士に相談してください。弁護士が捜査機関と交渉したり、意見書を提出したりして、容疑があらぬ方向に広がったり、依頼者が逮捕されるのを防ぐことができる可能性があります。不安な状態のまま捜査の流れに身を任せるのは決して得策ではありません。



刑事弁護・刑事告訴のご相談は03-5293-1775まで
刑事弁護・刑事告訴のご相談は03-5293-1775まで
刑事弁護・刑事告訴のお申込み